学長なんでもノート

頭がいいってどういうことだろう

長崎出身のシンガーソングライター、さだまさしさんの曲に、「無縁坂」というのがあります。

             運がいいとか 悪いとか 人は時々口にするけど 

             そうゆうことって 確かにあると あなたをみてて そう思う

そんな歌詞があります。

その前の歌い出しは、

             母がまだ若い頃僕の手をひいて この坂を登るとき いつもため息をついた

とありますから、どうしたって「母」は運がいいとは思えないですね〜。

おそらく、学生のみなさんは知らないでしょう。1975年の曲だから。僕もまだ高校生でした。

特別好きなわけでもないのに(さださん、すいません)、なんでこの曲を思い出したのかというと、「頭がいいとか、悪いとか 人は時々口にするけど」ってフレーズが出てきたので、どっかで覚えがあるなと思ったわけです。

その時、「頭がいい」ってどういうことだろうとぼんやり考えていたのです。小学校でも大学でも学校というものに所属している時は、成績のいい人、偏差値の高い学校に入学する人が、「頭がいい人」と信じられがちです。試験制度というものは、まことに便利なものでして、決められた時間で一斉に問題を解く。しかも、必ず用意された正解があるから、すぐに採点ができるわけです。つまり大量の人間を成績によって一気に、振り分けてしまえるのです。筆記試験による入試は、最も公平な優れた制度なのだという学校関係者の「信仰」に支えられていますが、実は手っ取り早い選抜の仕組みとも言えるのです。この時の「頭がいい人」とセットで「いい大学」という謎の言葉もありますが、これはひとまず置いときましょう。

「学校の成績がいい人=頭のいい人」という定義の効力は?例えば社会人の世界では、「学歴」というものの賞味期限はどのくらいでしょうね。気がついたら飲み会の話題にしかならないですよ。どうしてかっていうと、社会や職場では正解のないこと、想定外の事態に対応することが多いからなんです。だから「頭がいい人」はいつしか、問題を発見し、みんなの知恵と力を集めて解決する人に変わっていくような気がします。でも、学校関係の人はいくつになっても引きずっている人がいて、ちょいと面倒臭いのですが。

僕は、試験勉強や受験勉強が無駄だと言ってるわけでは決してないのです。学校での勉強、その理解度を確認する試験はとても大切なことです。知識は考える力のエネルギーです。私たちが自然や社会を理解し、生きていく上で、土台となるものです。ただ、試験の成績、その先進学、学歴という成果も、ゴールではなく、常に出発点であることをしっかり踏まえておくことです。

学歴は、それだけではブリキの看板のようにどんどん錆びていきます。何を学んだのか、学んだことのうえに、今、何を学んでいるのか、が一番大事なのです。学歴より学習歴、そう言われる所以です。

ではどんな人が頭のいい人って? まだまだ考えます。

中野信子さんという脳科学者は、「頭のいい人」の条件に「あえて空気を読まない人」をあげています。「空気を読む人」は、自分の意見や判断よりも、空気つまりその場の大勢に合わせます。やりたくない不合理な仕事も押し付けられて疲れ果ててしまうタイプです。反対に「空気読まない人」は、その場の雰囲気とはお構いなしに自分の主張を通そうとします。それはそれでいいかもしませんが、そのために相手をやりこめたり、追い詰めたり、結局無用に敵を増やすことにつながりかねません。

そこで、「あえて空気読まない人」です。僕流の理解で言うと、空気をよ〜く読んだうえで、賛同できない場合は、思い切り良く空気とは反対のアクションを起こす。しかしそれは理屈で相手をやりこめたり捻じ伏せたりしないで、空気を望ましい方向に変えていく人のことだと思います。

名付けて、A K Y! なあんて。

そのためにはどんな方法が必要か。それが対話なのです。

7月11日、サジョタンに、福岡の津屋崎でまちおこしに取り組んでいる「対話の達人」山口覚さんが来てくれました。佐賀女子短期大学全学生・教職員の対話を実現させるために、こども教育コース十数名の学生と何名かの教職員(僕もです)が、山口さんの「対話」のやり方を学んだのです。

山口さんはまず、教室に入ると『対話の考え方・参加の心得』を板書しました。

○私たちと思う

○耳を澄ませて聴く

○否定も断定もない

○答えを一つと思わない

○沈黙を歓迎する

○アイディアをつなげる

○心の変容を許す

そして始まった対話。一番素晴らしいなと思ったことは、教職員とか学生とかの立場の違いがすぐに忘れ去られて本当に「私たち」になっていたことです。山口さんはいくつか対話テーマを通して、参加者の心理的警戒の鍵を外していったのです。そして最後のテーマは、「どうすれば4大ではなく短大を選びたい!と思うようになるでしょう」でした。

あ〜〜面白かった。

「頭のいい人」とは、対話を産みだせる人、難しい課題を面白いチャレンジにしてしまう人。でも、そう言う人は、「ワタシはアッタマいいんだよね〜」とは言わないはずですが。

「優秀」とか「高い学力」ってどういう意味なのか、考え直すところに来ていると思うのです。大げさに言えば、日本は。

全学生・教職員の対話に向けて、いよいよサジョタンの実行委員会を結成します。

学長なんでもノート一覧を見る
  • 佐賀で介護福祉士になろう!
  • 全コース韓国留学
  • 認定絵本士養成講座
  • 保育士・幼稚園教諭取得特例講習
  • 若楠会
  • 一般財団法人大学・短期大学基準協会による令和2年度短期大学認証評価の結果、的確と認定されました。