学長なんでもノート

池の水ぜんぶ抜く・・・ということ

池の水ぜんぶ抜く・・・ということ

「池の水ぜんぶ抜く大作戦」というテレビ番組があります。住民のS O Sに応えて、池の水を抜いて危険生物を駆除したり、絶滅危惧種を発見したりするんですね。

ま、本当に言いたいことは番組の話ではなく、「池の水を抜く」ということなんですが。

僕はちょうど60歳になった時に、38年間お世話になった大学を辞めることにしたのです。定年にはなっていたけど希望したら5年は居させてくれたのですが。だからもしそうなっていたら今でも僕はその大学にいることになります。
特別なにをしたいということがあったわけでもなく、ただこのままひとつの職場でキャリアを終わるのもな〜、という感じで、不安ももちろんあったけど勇気をふるって、とにかく外に飛び出そうとしたのです。その時に浮かんだ強いイメージが、「池の水をぜんぶ抜く」でした。長いこと生きてきたので僕の場合は古池ですね。自分が身につけてきた知識や経験をあえて捨てて、池をキレイにして、新鮮な水を入れていく。

これ、もう少しカッコよく言えば、アンラーニング(unlearning)、学習棄却ということなんです。

僕が入学式の式辞や1年生、2年生の講話で述べたことはまさにそのことでした。

デジタル革命と100年長寿社会、地球環境問題など人類が経験したことのないとてつもない変化の時代を生き抜くために、もっとも必要なことは学ぶこと、学び続けることなのだと。それは、過去の知識や経験を棄て去って、つまり池の水をぜんぶ抜く感じで、学び直しを繰り返していくということなんです。それは僕のようなおじさんの話ではなく、100年という長い人生を歩むことになる、若い人たちにこそ身につけてほしいスキルです。

僕は若い頃から、どんな職業につきたいとか、夢の実現とか考える人間ではありませんでした。

そんな自分が60年以上生きてきて、学長という責任と役割を持つことになるなんて想像できるはずないですよね。でも、知識を行動に、体験を創造に、ということを大切に、目の前の課題にとりくんで来た気はしています。

だから人生は面白いのです。

学ぶことは生き方の選択肢を増やすこと、それは人生を豊かにすることです。自分でも思わぬ道にふと入ってみるとまったく別の世界が開ける、そういうことにきっと出会いますよ。

僕もまた4月から学び直しです。毎週「学長なんでもノート」を書こうと思っています。

そして、ときどきは、おすすめの本や映画の紹介をしていこうと思うのですが、ウチの学生のみなさんとともに学ぶつもりで、なるべく初めて読んだ本、観た映画にするつもりです。

紹介した本は図書館に寄贈して、みなさんがすぐ手に取れるようにします。

ウクライナやロシアの大学生たちはいま何を学んでいるんだろう。

そんな考えをめぐらしてみるのも学びです。

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