
先週の金曜日、長野県の軽井沢に行ってきました。
といっても、観光ではないのです。新大学の構想づくりにあたって、どうしても見に行きたい学校があったのです。本学の「構想実現アドバイザー」(なんやそれ?ですよね)後藤健夫さんの「激推し」校です。後藤さん、僕、そして、脇山英靖先生、久保知里先生と4人での訪問でした。
その学校とは、3年前にできた「軽井沢風越(かざこし)学園」。3歳から15歳までが「じっくり ゆったり たっぷり 混ざって 遊ぶ 学ぶ」学校です。
多くが、教育に携わる職業をめざしているサジョタンの学生には「へ〜!こんな学校もあるんだ!」と、ぜひ関心を持ってほしい学校です。
この学校には何年何組というクラスがありません。小学生は1年から6年まで、HB(ホームベース)に所属します。毎朝いったん集まり、お話をしたり、小学生新聞読んだりしてから、それぞれ自分のテーマを学びに出かけ、夕方になるとHBに帰ってくるのです。クラスに先生がやってきて、授業や試験を「受ける」のではなく、自分が学びたいところに行くのです。小学校1年から!そっからもう、びっくりですね。授業、試験、学校行事という普通の学校の枠組みではないのです。

校舎を包み込むような森、本が森のようにデーンと広がっているライブラリー、やりたいことをカタチにするたくさんの種類の工房に、自分たちが、出掛けて行ってやりたいことをやるのです。 この学校では「プロジェクト」という学びが大きい要素なんだと思います。複数学年で教員も含めてチームでチャレンジする「テーマプロジェクト」、「私をつくる時間」として、自分のテーマに自分で取り組む「マイプロジェクト」など、どれもこれも知りたい、学びたい、やってみたい、つくってみたい、つまり、すべて自分が探求したいことから始まる学校なのです。待っていても、誰も何もしてはくれません。
例えば、ギターに興味を持ったらギターを製作し、自分で演奏を披露しています。お城をつくったり、ひたすら学校水族館をつくったり、丹精を込めて神棚や仏壇や宝石をつくったり。卒業式も生徒が企画するのだそうです。どれをとっても、読書や情報収集などの知的作業から、製作工程という体験を通じて、次々と創造物を生み出していくのです。 スタッフは、とことん生徒の自己成長力に信頼を置いているんだな〜と思います。次々と湧きあがるプロジェクトのテーマは、スタッフですらゼロから学ばなければならないのです。頭ごなしに生徒を怒鳴りつけるようなスタッフはいないのだろうと思います。この学校では三者面談でさえ、生徒主導。最初に15分間、生徒がプレゼンしてから、保護者とスタッフと質疑をするのです。小学校1年からね、これも。 ひたすら授業と行事をこなしていく普通の学校と違って、生徒が納得、理解が深まるまで学べる、余白がある、自由があるのです。みんなといる時間と一人の時間が、ゆったりある。
外に出てみると、開学の頃は芝生だった広場は面影もありません。レンガから自分たちでつくった窯、水田の跡地もあり、今は生徒たちが川を掘っていました。 区分けされ、秩序だてられた学校とは違って風越学園は、いろんな人が行き交いながら、年齢や立場に関係なく、一人一人が自分のテーマに取り組んでいる、森の静寂と雑踏の騒々しさが混在しているような感覚。
凄まじい衝撃だ、これは。でもそれは、気持ちのいい爽快な衝撃だと思いました。 脇山先生も久保先生も、目がキラキラしていました。
今週は、サジョタンも卒業式です。2年間を「コロナ時代」で過ごした卒業生のみなさんには、式辞でしっかりエールを送りたいと思います。 また「食とヘルスマネジメントコース」が、今年の卒業生14名に学位を授与し、その幕を閉じることになりました。大変寂しい気持ちが込み上げてきますが、1968年のコース発足以来、卒業生2468名を食と栄養という世界に送り出してきた教職員の方々、実習などでお世話になった方々に、心よりの感謝を申し上げます。

