人ひとりをつくるための遺伝子のセットをゲノムというそうです。
私たちホモ・サピエンスはヒト属に分類されていて、今は唯一のヒト属ですが、大昔はいくつかの種類のヒト属といっしょに地球に住んでいたこともあるのです。例えばネアンデルタール人!聞いたことありますね。考えてみれば、犬も猫もクマもいろいろな種類がありますよね。
ホモ・サピエンスのゲノムは99.9%まで同じなんだそうです。つまり人間の違いは、わずか0.1%!
日本に住んでいる人もアフリカに住んでいる人も、ロシアに住んでいる人も、その違いは0.1%!

このことを僕は、篠田謙一というホモ・サピエンスが書いた『人類の起源 古代D N A が語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」』という本で学びました。
約20万年前にアフリカに生まれたホモ・サピエンスは、約6万年前にアフリカを出て世界への旅に出ます。日本列島に到達したのは約4万年前。世界どこの人間も共通の起源をもつ均一な遺伝子を持っている、「文明の姿の違いは、環境の違いや歴史的な経験、そして人びとの選択の結果である」と篠田さんは言います。
そんな、0.1%の違いが、まるで100%違っているように思い込んで引き起こされる対立、戦争・・・。
どの人種や民族が偉いの偉くないの、同じ人種の中でも、上だの下だのってホントにつまらないことだ。教科書で習う歴史は、1万年前に始まった農耕社会からの歴史、文明や国の興亡を学ぶ。その前に、どいつもこいつも、ほぼ同じホモ・サピエンスではないか、そう心に刻んでおくことは大切なことだと思う。
そういえばこの本を読んだのは、8月15日。77回目の日本の終戦(敗戦)記念日だった。

『モガディシュ 脱出までの14日間』という韓国映画を劇場で観ました。今から断言しておきます。今年観た映画のベスト1です。いや〜、いい映画でした。ハラハラドキドキ、クスッと笑えたり、じんわりさせられたり、最後は、なんだかな〜という複雑な「お土産」もある。そんな映画です。
そして、なんと実話なんです!
1990年、この時代、韓国も北朝鮮も国連に加盟していなかったのです。両国が加盟国の承認を得るため、映画の舞台となったアフリカのソマリアでも、北と南の大使が虚々実々の駆け引きをおこなっていた。ところがそのソマリアに内戦が起こり、全土は無法状態になり、大使館は孤立し、通信も絶たれ、まったくの危機に陥るのです。そこで、本来最も絶対に手を組んではいけない南北の大使同士が協力して、命懸けの脱出を試みるという話です。
朝鮮半島が北朝鮮と韓国に分断されたのは1948年。その後朝鮮戦争(1950年〜1953年)で同じ民族が殺し合うという悲劇に陥ります。ご存じのように。今でも同じ言語を話す両国は軍事境界線により隔てられています。
でも考えてみれば、もともと朝鮮半島は6世紀ごろ、新羅王朝からひとつの国として統一していたのです。20世紀初頭には日本が朝鮮半島を植民地支配していましたが、1945年日本の敗戦により独立を回復したかのように思えたのも束の間、アメリカ、ソ連をそれぞれ盟主とする西側陣営と東側陣営に世界が対立する中で、東西ドイツもそうですが、朝鮮半島も北と南に分断されてしまったのです。
何千年も同じ半島に暮らしてきたホモ・サピエンスではないか。もちろんそんなセリフはこの映画にはなかったけど、そんなことからしか目の前の敵と命を共にするという覚悟は生まれてこないのではないかと思いますよ。
この夏、おすすめの本と映画でした。
南北分断という悲劇は、たくさんの映画やドラマを産んできました。『愛の不時着』もそうですね。韓国のエンターテイメントの面白さというのは、その歴史から無縁ではないと思います。
が、そんなこともこんなことも含めて、まずはどうして多くの人々が、韓国のエンタメに心を撃ち抜かれるのかについて考えてみよう!ということで、オープンキャンパスの8月21日「韓流エンタメ・スペシャルトーク」を企画しました。福岡から最適の語り手、本田珠理さん、キム・ユリさんをお招きします。一般来聴大歓迎です。
サジョタンのホモ・サピエンスたちがお待ちしてます。
ところで、一組の夫婦から、子供が生まれる組み合わせは70兆通りあるそうです。みなさんは宝くじどころではない確率、70兆分の1から奇跡的に生まれてきたのです。
生命は大事にしないと、人間同士、大事にしあわないとね。