人間にとって一番つらいこと、残酷なことはなんだろうと考えると、それはなんの前触れもなく、災害や事故に遭遇し、突然に状況が暗転してしまうことではないかなと思います。
今年の1月1日、日本中がお正月気分に包まれていた16時10分に発生した能登半島地震は、まさにそうです。
今のいままで、久しぶりに戻ってきた子どもや孫とのだんらんが、倒壊した家屋の下敷きになる。
今のいままで、お酒をくみ交わし笑い合っていた幼なじみが、別れるの別れないのと揉めていたカップルが、悲痛な叫びとともに、一瞬のうちに引き裂かれる。
今のいままで、懐かしく美しいふるさとが瓦礫の街に変貌する。
そうして、今のいままで、生きていた240人の命が奪われ、15人がいまだに行方不明である。(2月1日現在)
そう、今のいままで。
これからも、いつ、どこで、どんな風に巨大災害や事故に見舞われるのか、それは誰にも分かりません。誰でも思いもよらぬ災難によって、人生が断ち切られる可能性があります。
改めて思うことは、「今を生きている」という意識を持つことではないかなと。変えようもない過去の後悔にさいなまれてクヨクヨしているうちに急に先が見えなくなってしまうことがあるかもしれない。予期することのできない未来に不安を覚え、足がすくんでいるうちに突然一歩も歩けなくなるかもしれない。
今、このいまの時間、いまの自分を大切にする。いまの積み重ねでしか未来は生まれない。
能登半島地震からひと月。現地の方々の暮らしの過酷さ、復興には程遠い現状のもどかしさが、報道を通じて伝わってきます。でもそんな時、佐賀女子短期大学の学生ボランティア部Sun-Kissed(サンキスト)をはじめ学生たちが、今できる支援をやっています。本学の3号館が、災害支援物資の貯蔵と送り出しの拠点となり、多くの市民団体と学生、教職員が活動しています。助け合う心に、大きいも小さいもない。忘れずに、ただ想いをはせるだけでも立派な支援だし、そこから一歩踏み出して何かの行動に参加すると、あなたの中で何かが変わるかも知れません。


2011年3月11日、東日本大震災からまもなく13年。これまで東北の被災地に数え切れないくらい足を運びました。当時ボランティアとして現地で活動していた学生たちも、もう30歳半ばぐらいになります。今でも、お付き合いが続いている東北の人から、「震災は確かに大変なことだけど、そこから一歩一歩、立ち直るしかない。でも、そのことで普通の人生なら出会えないような沢山の人と繋がることができた」と言われたことを思い出します。
まさに、今を生きている言葉ですね。
今日は、「今」をいっぱい使った今村でした。