学長なんでもノート

もっと光を!「ミャンマーの人たちに、光を届けよう。Be Sunny!プロジェクト」に寄せて

 今から10万年前に、人間は火を使いこなすようになります。それが、人間が自分の力で光をつくった始まりです。10万年前…よくわからない遠い、遠い昔の話です。それから人間が新聞も本も、苦もなく読める明るい部屋で夜を過ごせるようになったのは19世紀の末、エジソンが電気ランプをつくってからなんですよ。ず〜っと、夜は暗かったんですね。

 大雑把にいえば、ローソクの時代が長く続きました。脂の塊に芯を立てて火をつけるのですね。木の実のような植物性のものもあったけれど、多くは獣の脂、羊とか豚とかです。そういうものを固めて燃やしていたわけです。それほど明るくもなく、臭いが濃くて、煙も大変だったようです。ハーバード大学というアメリカの名門大学があります。佐賀女子短期大学よりは少し有名な大学ですが、その大学の学長の1743年(今から282年前ですが)の日誌によると、2日間かけて35キロの獣脂のロウソクをつくっていたそうです。2ヶ月分の「光」を確保するために。学長、ご苦労様です。そんな苦労をしてでもローソクをつくらなければならなかった。それでも今に比べるべくもなく、はるかに夜は暗かったのです。ハーバード大学の学長が悪戦苦闘していた頃から数十年前に、マッコウクジラという巨大な鯨が発見されて、その脳から1900リットルもの油が出ることがわかったんですね。その油がそれまでの獣より臭くなく、またひときわ明るく燃えたのです。かわいそうに…。そのために30万頭のマッコウクジラが犠牲になりました。捕鯨禁止とか、どの口がゆうとんねん。

 そして19世紀になり、化石燃料、つまり石油の発見とか電気の発明とかの時代になったわけです。10万年の長さからみれば人間が明るい光を手に入れたのは、ほんのついさっきのような話です。みなさんは当たり前のように、暗い夜も自由に行動しています。街灯もあり、コンビニも、飲食も映画館も、どこに行ったって当然に明るい。でも、今の地球でも電気が行き渡っていない「無電化地域」があるのです。13億人、人口の20%の人々がまだローソクの生活をしている。灯油だけの生活をしているのです。煙による健康障害、火災による死亡事故も起こっています。光でも格差はある。今も暗闇が支配しているところがある。そして、今ミャンマーの被災地の夜も暗いのです。

写真提供:認定NPO法人地球市民の会
写真提供:認定NPO法人地球市民の会
写真提供:認定NPO法人地球市民の会

 先月3月28日、ミャンマー中部で起きた大地震。軍の発表では、3600人の死亡、120名の行方不明が伝えられています。本学にはミャンマーの学生がたくさん学んでいます。とくに新入生は、日本に入国するやいなや、地震の報に接して本当に大変なことだったろうと思います。入学式から、学生たちが募金に取り組みました。そして、そんな動きから本学の学生サークル「学生ボランティア部Sun-Kissed(サンキスト)」が一つの方向性を示してくれました。「ミャンマーの人たちに光を届けよう。Be Sunny! プロジェクト」です。なんといっても旭学園ですものね。本学とは深い繋がりのある認定NPO法人地球市民の会と連携して、太陽光・ソーラーのランタンを届けようという活動です。昼間、太陽の光で充電しておけば、夜、明るい光を放つ優れものです。被災地ではきっと威力を発揮してくれるでしょう。そんなやり方があったのかと、ハーバード大学の学長なら、さぞ悔しがったことでしょうね。

 これまで集まった募金で、48個のランタンを送ることができました。僕は、このサンキストの活動を応援していきたいと思います。100個、200個と支援の輪を広げていきたい。

入学式でミャンマーへの募金を呼びかける留学生
ソーラーランタン CARRY THE SUN

※ご協力いただける方はこちらをご覧ください。

 そう!トークフォークダンスは、めっちゃ面白かったな〜。この話はまた、あとで。

*参考文献:「世界をつくった6つの革命の物語 新人類進化史」スティーブン・ジョンソン 朝日文庫 より

佐賀女子短期大学学長 今村 正治

もちろんどなたに読んでもらっても、とってもありがたいのですが、やはりウチの学生に見てほしい、そんなつもりで毎週そのときどき思っていること、もやもやしたこと、すっきりしたこと、笑えることなど、あれこれ、学生に伝えたいことを中心に肩の力を抜いて書いていこうと思います。

ときには、この本おすすめですと学長書店になったり、この映画すごいよ!と学長シネマになったり、なんでも学びと考える僕の「学長なんでもノート」始めます。

もっと光を!「ミャンマーの人たちに、光を届けよう。Be Sunny!プロジェクト」に寄せて
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